うすしお

感想とかFAまとめ

劇場へ通う楽しさを知った2023

2023年、お察しの通り某ドラマで2人の俳優の演技の虜になってしまった筆者は数年ぶりに舞台を観に行くという楽しさを思い出させられることとなる。

通うという意味を知ると共に……。

 

大層な前書きをしてますがただの2023年の観劇記録です。

▮大層な前書き

舞台自体は好きだった。ただ「通う」という意味が分からなかった。

これに関しては私自身が以前までは地方在住だった故、1ステージしかない地方公演しか知らなかったからであろうと思われる。

ただその上でも通うって何…?同じ演目でしょ…???状態ではあった。

いやだってチケットってそんな安いものではないよ?1回何万円って……

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いやB席安!?!?!?!?

いくら国立だからってやりすぎでしょ。

 

いうてもですよ、それと何回も見たいかって別でしょう。

私はよくお笑いのライブに行くのだがお笑いライブはその時その瞬間を楽しむというものがほとんどで、つまるところ同じ絵面を2度見るということはほぼ無いのだ。

実際この一期一会のような時間が自分は好きだし、生で見るものの醍醐味とはそういうものなのでは?ミュージシャンやアイドルのライブだって…などと思っていた。回数を見たからなんなのだ、それよりも1回を大事にすべきだろうと。

 

とりあえずこの屁理屈は一旦全部忘れてください。

 

いや、1回を楽しむことも間違ってない、ただ今回舞台を観に行った後でふと思ってしまった。

「これ今目に焼き付けておかないと一生見れないのでは……?」

だって舞台って基本円盤にもならないみたいだし…ええ…?こんなに面白いもを…!?じゃあ今のうちに見れるだけ見とかないと…ダメってことじゃ…?

……。

 

通うかぁ……!!

▮そもそものきっかけ

(※個人的なきっかけの話なので感想だけ見たい方は飛ばしてもらって問題ないです)

次の項目から今年見た劇の感想なのだが、今回は観劇に行くにあたって目的の俳優さんがいたため大前提として念のために触れておきたい。

上で書いた通り某ドラマ…『らんまん』において前原滉さん演じる【波多野泰久】と亀田佳明さん演じる【野宮朔太郎】のタッグに心を打たれてしまった。もちろんお話におけるその関係性も素晴らしいのだが、なにより二人の演技の掛け合いが凄すぎた。

端的に言ってめちゃくちゃ好みの演技をする二人だったのだ。繊細で、言葉を大切にするお二人の演技があまりにも大好きになってしまった。

ただ最初からそうだったわけではない。はじめこそ「あ、良い演技する方だなぁ…好きかも」くらいだったのが、毎日少しずつ彼らの演技を見ていくごとにただの”好き”ではないなと明確になっていった。

 

「この人たちの他の演技をもっと見たい…………」

 

もうこう思い始めたらね、終わりですよ。

実際7月あたりからじわじわと伸びてきた感情から「え…?他何出てるの?」と調べて配信を観たりしてたわけなのですがそこで9月あたりにとあるものを見つける。

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前原さん舞台出てるじゃん………。

元々舞台、とりわけ古典劇は大好きだったので観るしかないと。

 

東京公演終わっとるがな(9月)。

 

涙…涙…と思った矢先、地方公演の文字に気づく。

……行くか。

いやもうこれは行ったことない土地に行く口実にしていっちゃおう、と。

そんなわけでこれを皮切りに舞台っておもしれ~~…を下半期で体感していくこととなるわけです。

 

▮PARCO STAGE『桜の園』/9月

 

公演情報を知ったころにはとっくに東京公演が終わってたという。

いやでもこれ観に行かないと絶対後悔する…!!という感情から思い切って名古屋へ行ってみてきました。

初めての生の前原滉の演技だ…!

正直映像系でかなり出てる方なので舞台だと台詞の聞こえ方とかどうなのかな、と少し思いつつ観にいってみたところめちゃくちゃ台詞聞き取りやすい。凄いな…。

同時期に同じドラマで出演してらっしゃった安藤玉恵さんの演技も見れて凄く貴重な時間でした。正直この舞台で一番演技を好きになったのは安藤さんまである。

ほか出演してる方も知ってる方たちばかりで凄い豪華だな~、えコレを一気に観てもいいんですか…!?と、とても良い観劇スタートを切らせていただいた作品になりました。

内容としては、結構奇抜な舞台演出なさる方なんだな~というのが第一印象。

特に第2幕以降はそのあたりが顕著で、正直初めて観る演出の方の舞台だったので「これは…時代、どこ…!?あ、そういう演出なのねこれOKOK…」と入り込むのに少し時間はかかった。

それでもその奇抜さが「斜陽」の雰囲気を際立たせてたのかなという部分もあり、とても良い体験になりました。

個人的な意見として、そもそもロシア文学自体が日本では共感性という意味では合う合わないあるよなぁと思うので、そういった点では別側面の価値観を考えるいいきっかけになったなぁと思ってます。

来年は同じ演出の方でリア王が見れるということでこちらも楽しみ…!

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新国立劇場『尺には尺を』/11月

シェイクスピア、ダークコメディ交互上演のうちの1作。

もしこの交互上映のうち舞台初心者の人に見せるならどっち?と聞かれれば恐らくこちらを見せるであろうという、お話として分かりやすく楽しい作品だった。

実際この観劇の際に古典劇を見るのが初めてという友人を連れて行ったのだが好みだったのはこちらとのこと。

私も一回で咀嚼しきれたのは正直こちらの尺には尺をだった。

目下、亀田佳明きっかけで見に来るに至ったわけだが、他存じ上げていた岡本健一をはじめ、はじめましての役者の方々、演出、全てが素晴らしかった。

個人的にはやはりソニンさん、なんて可憐なんだ……と惚れ惚れしてしまった。

亀田佳明に関しては生の演技をこれで初めて見たわけだが、なんか演技力高すぎて役ごとに体のサイズ感別に見えてたまであった。これ以降『終わり良ければすべてよし』を見るまで脳裏に思い浮かぶ亀田さんがもれなくナイフぺろぺろしてるおじさんになってたのはここだけの話。

それと、最後ソニンさんが数回振り返る演出に関して、ガイドツアーでの解説さん曰く初日にその演出が完成したと聞いて「凄い鮮度のある話だ…」と舞台の醍醐味を感じていた。

 

ちなみにこちらなんと来年の1月14日NHK-BS「プレミアステージ」にて放送予定。とても面白いお芝居だったのでぜひとも見ていただきたい。

NHK BSプレミアム4K
2024年1月14日(日)23:20~ ※番組内2本立てのうち前半
NHK BS
2024年1月15日(月)0:10~ ※番組内2本立てのうち前半

 

 

▮『終わり良ければすべてよし』/11月

シェイクスピア、ダークコメディ交互上演のもう1作。

最終的にはお話の好みとしてはこっちだった。

結論として言えばこれを見たのをきっかけに複数回みたいという感情を初めて知ってしまった。

結果、2回見た。いやホントは3回くらい見たかった。初見で楽しみ、2回目で理解し、3回目で噛みしめたいと思った。もっとこの感情に早く気づきたかった…。

尺には尺をとは打って変わり布1枚を中心として演出される舞台。

凄いお洒落だ…。あと何より照明の色がとにかく綺麗だった。

亀田佳明演じるペーローレスは一人だけ上の絵のような黄色い軍服という異質なカラーだったのだが、それが暗闇で綺麗に落ちて水色のスカーフの色が薄く浮かび上がるの凄いな??と。尺には~も赤が印象的な舞台美術だったのですが、終わりよければ~の方は白黒の陰影の中で淡い色が浮かんだり落ちたり…みたいな光が印象的だった、みたいな。

あと何よりやっぱり軍服マントはかっこいいですね…亀田さんのマントの使い方があまりにも巧みで思わず見惚れてしまったくらいには素敵でした。

詳しい感想はこちらから。

poipiku.com

poipiku.com

www.nntt.jac.go.jp

 

ちなみにこちらも来年の2月4日NHK-BS「プレミアステージ」にて放送予定。是非見てほしい。

NHK BSプレミアム4K
2024年2月4日(日)23:20~ ※番組内2本立てのうち前半
NHK BS
2024年2月5日(月)0:10~ ※番組内2本立てのうち前半

 


▮『宇田川心中』

 

2009年上演の亀田佳明のキレキレ殺陣演技が見れると聞いて演劇博物館に見に行ったもの。

 

殺陣どころではなかったんですけどなんで最初に教えてくれなかったんですか…?

なんか……なんなんですかね…ほんとに前情報を「殺陣が見れる」しか知らずに行ったので開始5分くらいでビビり散らかしてました。

正直あんまり女装が似合うとは想像してなかったのですごいこんな似合う人いるんだ…!?と月並みに驚いてました。しかもそれでいてかっこいい、男娼の美少年が動く!斬る!漫画にもほどがある。

笑いどころも沢山あって心中モノとタイトルにありつつも総合的にはすごく楽しいお話でした。ただ風紀はすごい乱れてる。

 

▮ブレイキング・ザ・コード/12月

 

今年頭に上演していたのを知らずに見逃し、涙涙していたところまさかの愛媛で上映会をしてくれるという情けを頂いて観れたもの。

一度長い感想を書いてるので簡潔にまとめれば「久々に感情を震わされた作品」でした。

dukenama645.hatenablog.jp

 

Twitterでも少し書いたのですが、世の中にはどんなに辛く苦しい内容でも最後のたった一つの言葉を聞くがために「ああ、これ観て良かった」と思わされる作品があるわけで、このブレイキング・ザ・コードという作品は私にとってまさにそういった作品の一つとなりました。

配信…またやってくれるのかな、やってくれそうな気もするのですが、その時は是非ともたくさんの方に見ていただきたい。

私も見れたのは映像ででしたがもしこれ生で見てたら大号泣してただろうな…というくらいには柔らかい所に刺さった作品でした。

www.breakingthecode2023.com

 

▮終わりに…

以上、5本。通う楽しさを知ったといった割に実は通えたのは1本だけなのですが、逆に言えばそれによって知ってしまったということでもあるので…。

とはいえ、同じ人間で何回も席を埋めるよりもっといろんな人の手に席が行けばいいのかな、という気持ちもどこかあったりするわけで。

程々に、これはもっと味わっておきたい!もっと理解したい!という時におかわりしていこうかな~と思っています。

同じ演目を何故何回も見るのか?という疑問に関して自ずと出た答えは「ああ、これは全部違う舞台なんだな」というのが結論だ。

実際、新国立劇場のガイドツアーで「舞台は公演を重ねて作り上げていく」という話を聞いた。事実として1回目と2回目で多少仕草が変わってるな?というのもいくつか目についたので、なるほど、と思った。つまるところ、演目こそ同じであれど同じ舞台はないのだな、とようやく理解できた。

これは確かにあれだ、人間の掘り下げを見ていくようで面白い。

あとなによりたまにあるハプニングや好きな演技を生で感じるというのは物凄く貴重でこんなのなんぼあってもいいんだな!!!と分からされたというのが1番の結論ではある。

とりあえず来年は初日と千穐楽を見比べるという体験をしてみたいというのが目標です。

ありがたいことに好きな俳優さん二人とも舞台の予定が決まってるのでこれからしばらくそれを楽しみに日々を頑張っていきたいと思う。

とりあえずパートタイマー秋子とリア王、そしてデカローグ。楽しみ…!

リンクを貼っておくので気になる方は是非覗いてみて欲しい。

 

▮パートタイマー秋子

nitosha.com

 

リア王

stage.parco.jp

 

▮デカローグ

www.nntt.jac.go.jp